借地権と底地の価格を求める際に、相続税路線価の借地権割合を使用することがよくあります。大雑把に価格を認識する場合には簡便で説明し易いのですが、借地権や底地の個別性が反映されていないため、適正妥当な価格判断のためには注意が必要です。路線価割合の懸念点は以下のようなものがあります。

①路線価割合には旧借地法の堅固非堅固の区分がない。

②路線価割合では更新までの残存期間が長くても短くても同じ評価となってしまう。

③路線価割合には金融機関の評価が低く、市場性が低いことが考慮されていない。

④路線価割合には契約内容の個別性が割合には一切反映されていない。

⑤路線価割合には地代水準が適正かどうかは反映されていない。

 

⑤について少し触れてみます。

鑑定評価の基本的な考え方としては、地代が正常賃料よりも高いと借地権価格は低く、地代が正常賃料よりも低いと借地権価格は高くなります。そして底地価格は借地権と逆の関係で、地代が正常賃料よりも高いと底地価格は高く、地代が正常賃料よりも低いと底地価格は低くなります。借地権の買主からすると地代が相場よりも安いと(借得分が多い)より価値が高くなり、底地の買主からすると地代が相場よりも高い(収益性が高い)とより価値が高くなるわけです。このように現行地代の水準は借地権と底地の経済価値に直接的に影響を与えるため、借地権割合・底地割合の判定に当該要因を織り込む必要がありますが路線価割合には地代要因が考慮されていないためこの点を認識しておく必要があります。

(借地権の権利が強い程、底地は更地に復帰する可能性は小さくなるので、更地価格との直接的な関連性が希薄になり、地代徴収権に基づく収益性が経済価値発生の主因となります。)

 

それでは借地権割合・底地割合は本来どのように判断すればいいのかが問題になりますが、鑑定評価においては、類似の借地権取引事例を集めてその土地の更地としての価格を査定し、更地価格に対する借地権価格の割合を算出するという作業を行うことが本来的に必要な調査だと思います。そして、算出された割合に対して上記の懸念点で挙げた事項について確認しながら補正を行い、評価対象の借地権割合や底地割合を査定します。

しかし、借地権や底地の取引事例は、必ずしも同一需給圏内で最近の事例が収集できるとは限りませんので、地域を広く取りやや古い事例であっても多くの事例を集める必要があります。査定の精度を高めるためにもある程度の数のデータを集めることが必要です。難しいのは、実際取引事例から把握される割合は、引当事者の属性や借地権の用途や地域性などによって値がバラバラでまとまりが無い結果になった場合でもそこに法則性が見出せるかどうかです。画一的に示された路線価割合は非常に便利なものですが、重要なのは一見バラバラな水準を示している情報を分析して解釈する作業を行い総合的な判断を行うことだと思います。