空家について様々なデータや記事がみられますが、空家の定義は様々で、集計主体によって対象とする空家の内容も異なっているので、実感に近いものからそうでないものまであります。

2018年の住宅土地統計調査(総務省)によると全国の空き家は846万戸で、総住宅数に占める割合は13.6%と2013年から0.1%上昇しています。この統計による空家とは住宅土地統計調査が定義する、「2次的住宅」、「賃貸用の住宅」、「売却用の住宅」、「その他の住宅」で、846万戸はその合計戸数となっています。「2次的住宅」は別荘やふだん住んでいる住宅とは別にたまに寝泊まりしている住宅で、「その他の住宅」とは、転勤や入院のため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取壊すことになっている住宅とされています。

 

総住宅数6,242万戸に対して846万戸が空家となっている訳ですが、別荘やセカンドハウスなどを所有する人が増えているのであれば住宅ストックが増加して人々の生活が豊かになっているということであり、「2次的住宅」が増加することは望ましいことだともいえます。また、「売却用の住宅」は近い将来新しい所有者により居住されていることが予定されている住宅とも言えます。

住宅として存在しているのに、住宅としての使われていない住宅だけを空家として考えると、「その他の住宅」347万戸であり、その割合は5.6%と半減します。

(もちろん、これは全国平均なので地域によって事情が異なってきますが。)

 

今回のコラムでは、住宅土地統計調査の「賃貸用の住宅」の空家について考えてみたいと思います。「賃貸用の住宅」の空家数は全国で431万戸と846万戸の半分を占めており、総住宅数に対する割合は6.9%となりますが、賃貸用として建築されている住宅のうち空いている住戸がどの程度あるのかを住宅土地統計調査の数値を使って計算してみたいと思います。

現時点で、2018年は都道府県別のデータしか集計されていないので、2013年の住宅土地統計調査を使って市区町村別の「賃貸用の住宅」空家率を集計してみました。

 

計算式)

「賃貸用の住宅」空家率=「賃貸用の住宅」の空家数/(借家世帯数+「賃貸用の住宅」の空家数)

借家世帯数:住宅土地統計調査にて集計されている市区町村データ

 

集計結果は、市区町村別に出してます。

(「全体の空家率」は、2次的住宅なども含めた空家の総住宅数に対する割合)

全ての地域で賃貸用住宅の空家率は10%を超えており、東京で一番低いのが中央区の12.4%(全体の空家率で10.6%)、最も高いのが、青梅市の25.8%(全体の空家率で13.2%)と一般的な感覚よりも高めに集計されているのではないでしょうか。

神奈川県では、開成町の10.9%(全体の空家率で5.6%)、最も高いのが、湯河原町の40.6%(全体の空家率33.4%)となっていますが、横浜市で15.8%、川崎市で15.5%と高めの数値になっていると思います。

 

せっかく市区町村別データが集計できたので、東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)のデータを使って散布図を作ってみます。

図表-1

図表-1は、各市区町村の単身世帯数が住宅土地統計調査の居住世帯ありの世帯数に占める割合を、単身世帯率として算出して借家割合(借家に住む世帯の割合)との関係をプロットしたものです。(借家率は住宅土地統計調査で集計されている持家世帯数と借家世帯数より計算)

この図表によると、単身世帯率が高い程、借家率も高いことが高い相関係数できれいに表れています。

例えば、新宿区では単身世帯率60.2%で借家率60.0%に対し、青梅市では26.6%と28.7%。また、横浜市中区では50.3%と47.5%に対して平塚市では29.1%と36.1%となっています。

図表-2では、借家率と賃貸用住宅空家率の関係をプロットしてみました。

相関係数は少し図表-1よりも低いですが、借家率が高い程、賃貸用住宅の空家率は低い関係があることが示されています。

 

つまり、単身者は持家よりも借家を選択する傾向が強いため、単身者の割合が高いと借家市場における賃貸用住宅の取引が活発となり、賃貸用住宅の空家率は低くなる傾向が表れているということができます。

 

(※住宅土地統計は総務省による基幹統計ですが、国勢調査のような悉皆調査ではなく、指定調査区ごとに抽出率を決めて抽出されたサンプルによる推計値ですので、全国の空家数846万戸も推計によるものです。)

 

以上