更新のない借地契約として調印された契約書(定期借地権契約)を確認することがありますが、内容を確認するとなかには借地借家法に規定されている定期借地契約(借地借家法22条、23条、24条)の要件を満たしていないものがあります。

以前相談を受けた借地権でその地代がかなり高く(相場の10倍ぐらい)、契約期間5年、更新無し、というものがありました。その借地契約は、借地借家法施行以前に締結されているため、そもそも旧借地法の対象となるもので強行規定により法的には堅固建物の原則60年が適用されることになりますが、当事者はお互い合意した内容に特に疑問もなく契約は続けていました。当事者間で問題がなければそれでもいいのかもしれませんが、どちらかの気が変わったり、売買などで第三者に権利が移転した場合に問題が発生しますので、このような内容は当事者間の合意内容と法律などとの調整が取れた内容に修正すべきです。当初はお互いが契約内容に合意しており定期借地契約との認識で何の問題が起こっていなくても、何らかの経緯で当事者が変更になったときや家庭事情や事業環境などに予期しない変化があった時、トラブルになる可能性がありますので法的に妥当な内容にすり合わせて修正しておくべきものです。契約内容の法的妥当性は経済価値にも大きな影響があるので、契約締結時に専門家に見てもらうことは重要なことだと思います。

(今なら例えば建設協力金による定期借家契約を締結するようにしても当事者間の目的は果たせるかと思います。)

 

定期借地契約が成立するには契約期間は最短でも事業用定期借地権が10年であり、「公正証書」でしなければなりません。また、一般定期借地権だとしても契約期間は50年以上とする必要があり、更新しない等の特約を公正証書等の書面でする必要があります。また、建物譲渡特約付借地権は30年以上で「確定期限付売買契約」や「売買予約契約」と借地契約を同時に締結することになります。

 

  一般定期借地権(22条) 建物譲渡特約付借地権(24条) 事業用借地権(23条)
期間 50年以上 30年以上 10年以上50年未満
権利内容 3つの特約が有効
①更新しない
②建物の再築に伴う存続期間
の延長をしない
③建物買取請求権を行使しない
賃貸借契約締結時に契約後30年以上経過した日に賃貸人が借地人から借地上の建物の譲渡を受ける旨を特約し、賃貸人が建物を買い受ける事により借地権が消滅する 借地借家法の次の3つの規定を
適用しない
①法定更新
②建物再築の伴う存続期間の延長
③建物買取請求権
契約満了時 借地人は建物を収去して更地にして返還 賃貸人は、契約時に定めた時期に賃借人から借地上建物を買い取るこの類型のみ建物が将来も存続する 借地人は建物を収去し更地にして返還
契約方式 上記3つの特約を公正証書等の書面で契約する 法律上は格別の制限ない口頭でも成立可但し、実務上は建物に仮登記を経由する 賃貸借契約を公正証書でしなければならない